Q&A

目次

成年後見制度について


・ 成年後見制度ってどんな制度ですか?
・ 以前からあった制度ですか?
・ 簡単に制度の仕組みを知りたいのですが?
・ 後見人はどんな仕事をするのですか?

任意後見・任意後見契約について


・ 任意後見契約って何ですか?
・ 何故、公正証書になるのですか?
・ 遺言書と何か関係があるのですか?
・ 任意後見の具体的な手続きを教えて?
・ 任意後見と併用したり関連する契約は?

法定後見について


・ 法定後見は何時から始まるの?
・ 判断能力によって何が違うの?
・ 家庭裁判所への手続きはどうするの?
・ そんなに待っていられない時はどうするの?
・ 後見人ってどんな人がなるの?
・ 後見人の仕事はどんなこと?
・ 後見監督人って?
・ 保佐人や補助人、成年後見人が悪いことしたら?
・ 地域の福祉権利擁護事業と成年後見はどこが違うの?

成年後見制度について


成年後見制度ってどんな制度ですか?

高齢者や障害のある方々が、判断能力が不十分ですと、ご自分の財産管理も難しく、介護保険等の契約もうまく行かない場合があります、その上悪質商法の被害に遭い思わぬ損害を被ることがあります。生きている間は安心で自分の意思のままに暮して行くために、影で支えるのが成年後見制度になります。

以前からあった制度ですか?

高齢者や障害のある方々が、判断能力が不十分ですと、ご自分の財産管理も難しく、介護保険等の契約もうまく行かない場合があります、その上悪質商法の被害に遭い思わぬ損害を被ることがあります。生きている間は安心で自分の意思のままに暮して行くために、影で支えるのが成年後見制度になります。


簡単に制度の仕組みを教えて下さい?


成年後見制度は、大きく分けて「任意後見」と「法定後見」に分かれます。判断能力が十分にあり元気なうちから、将来に備えるのが「任意後見」です。判断能力に衰えのある人を支援するのが「法定後見」です。法定後見は判断能力によって3つの類型があります。


後見人はどんな仕事をするの?


後見人は、任意後見人・補佐後見人・補助後見人・成年後見人に、それぞれに家庭裁判所が任命する後見監督人の方がいます。主な仕事は、財産管理事務・身上監護事務などですが、本人か代わって法律行為を行う場合もあります。仕事の内容に付いては、それぞれの契約や類型によって違います。安心して暮して行くためには、色々な事柄を判断能力があるうちに決めておかなければなりません。


任意後見・任意後見契約について



任意後見契約って何?


本人の判断能力がある間に、将来、判断能力が不十分になった時のことを考えてあらかじめ代理人を選んでおいて、ご本人が自分の療養看護や財産管理について代理権を与える契約を結びます。将来、判断能力が低下したら任意後見人は、家庭裁判所が選んだ任意後見監督人のチェックのもと、本人に代わって財産を管理したり契約を締結したりして、ご本人を支援することです。

公正証書になるのですか?


公正証書は、公証人という法務大臣が任命する公務員で、30年以上の実務経験を有する法律実務家が作成する権利や義務に関する証書のことをいいます。 任意後見契約では、ご本人の判断能力が衰えだした後に契約の効力が生じますので、万一、契約内容が違法や無効だったりすると、取り返しの付かないことになります。そこで必ず公証人に作成させることとして、適法で有効な契約書になるように配慮されているからです。


遺言書とはなにか関係があるの?


遺言書は、ご本人財産をご本人の意思で決めることですので、当然判断能力が十分にある間に用意しますが、これは相続の問題です。生きている間のことに備えなければ片手落ちになります。任意後見の内容を考えていくと、財産の相続や葬儀や祭祀など重なりあうこともありますので、任意後見に前後して公正証書遺言をご用意する事をお薦めしています。


任意後見の具体的な手続きとは?


まず契約内容から、本人の意思を確認します。次に、任意後見契約を結び、公正役場で公正証書にします。その後、法務局で後見登記を済ませます。法務省令で定める附録様式がありますので、該当する事項を確認してください。


任意後見と併用したり関連する契約は?


元気で判断能力がしっかりしている時に、将来に備える契約として、見守り契約・財産管理委任契約・死後事務委任契約などの任意代理契約や、介護保険と関連が深い地域の社会福祉協議会の権利擁護事業や地域支援事業などがあります。任意後見契約に関連する契約をご覧下さい。 法定後見について 法定後見はいつから始まるの?

判断能力が成年後見制度の一つの境界線です。ご本人の判断能力が不十分になった時点で、家庭裁判所に申立てをして、その審判が確定した時点で法定後見が始まります。 判断能力によって何が違うの?

判断能力の尺度を「類型」と呼んでいます。補佐類型→補助類型→後見類型と3段階に分かれます。補佐類型は、判断能力が不十分な状態。補助類型は判断能力が著しく不十分な状態。後見類型は判断能力が欠けている常況の状態です。医師の診断書からその類型にて、家庭裁判所に申し立てをして、家庭裁判所が審判します。 家庭裁判所への手続きはどうなるの?

家庭裁判所には申立てします。申立てができる人は、本人・配偶者・四親等以内の親族・市区町村長などに限られています。 また、申立ての費用は、原則申立て人が負担します。その費用はケースバイケースですが、切手・印紙代が1万円前後、医師の鑑定費用が5~10万円前後、書類作成や申立てを弁護士・司法書士に依頼するとその分の報酬が加わります。 また、申立てから後見開始までの期間ですが、こちらもケースバイケースですが、3~6ヶ月前後かかります。添付書類の準備やその作成期間を含めると、思いのほか長い時間がかかります。 そんなに待っていられない時はどうするの? 入院費の支払いや悪徳商法の被害等で急を要する場合は、申立てにより緊急性が認められれば、審判前の保全処分が利用できます。財産管理人が選任され、入院費の支払いや契約の取り消しができるようになります。


後見人ってどんな人がなるの?


補佐人・補助人・成年後見人になるには、特に資格などの制限はありませんが、家庭裁判所が適任者と認めれば誰でもなれるのが原則です。昨年度の統計では、ご本人のご親族の方が選ばれた事例が77%、専門家では司法書士8.2%・弁護士7.7%・社会福祉士3.3%になっています。 専門家にご依頼される場合は、後見人報酬が発生します。家庭裁判所ではご本人の生活レベルを下げる様な報酬を決めることはありませんが、2~5万円前後になると思われます。

後見人の仕事は?

ご本人に代わって、家庭裁判所より付与された同意権・取消権や代理権を駆使して本人の権利擁護をしています。補助人・補佐人には同意権・取消権や代理権が、成年後見人には代理権と取消権が与えられます。具体的には、ご本人の意思を尊重し、財産管理・身上監護(本人の心身の状態や生活の状況)の事務になります。

後見監督人ってなに?

後見監督人の職務は、後見人が行う後見の事務を監督することです。原則としては家庭裁判所が直接後見人を監督しますが、監督を補強するための必要がある場合には、家庭裁判所が監督人を選任します。任意後見制度の場合は必ず任意監督人が選任されますが、法定後見の場合は後見人を監督する立場の人は必ずしも選任されません。

保佐人や補助人、成年後見人が悪いことをしたらどうなるの?

家庭裁判所では、何時でも、後見人等に対し、後見の事務の報告もしくは財産の目録の提出を求め、または後見の事務もしくは被後見人等の財産状況を調査することができます。また、家庭裁判所は何時でも、後見人等に対し、被後見人等の療養看護、財産の管理その他の後見の事務に関し、相当であると認める事項を指示することができます。さらに、後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に敵しない事由があるときは、後見人等を解任することができます。必要と認める時には後見監督人等を選任することもできます。

地域の福祉権利擁護事業と成年後見制度はどこが違うの?

都道府県の社会福祉協議会が実施している地域福祉権利擁護事業は判断能力が不十分な人に対して、福祉サービスの利用援助を行う制度です。この制度は、都道府県社協との契約によって行いますので、依頼者は契約できる程度の判断能力がなければなりません。したがって判断能力に問題がある場合は、成年後見制度を利用する必要があります。参考資料に成年後見制度と福祉サービス援助事業との関係を添付していますのでご確認ください。

また、成年後見制度と併用が考えられる、「関連する契約や証書」の地域福祉権利擁護事業他ページにてご確認ください。


Q.成年後見制度は何歳から利用できますか?
A.年齢の定めは特にありません。法定後見は未成年者でも利用できる場合があります。
任意後見契約の締結は未成年者でもできますが、任意後見制度の利用はできません。。
Q.成年後見制度を利用するデメリットはありますか?
A

メリットデメリット
法定後見制度・判断能力が不十分な方の 財産管理 と 身上監護 をすることができる。
・支援する内容が登録されるので成年後見人等の地位が公的に証明される。
・成年後見人等には取消権があるので、本人が詐欺に遭った場合には契約を取り消すことが できる。
・手続きに時間がかかるので迅速性に欠ける。
・申立人が負担する審判申立の費用が高額である。
・選挙権を喪失する。(※保佐と補助は除く)
・印鑑登録ができない。(※保佐と補助は除く)
・会社の取締役や弁護士・医師等の一定の資格に 就くことができない。(※補助は除く)
任意後見制度・契約内容が登記されるので任意後見人の地位が公的に証明される。
・契約により判断能力が不十分になった場合でも、本人が希望する生活を送ることができる。
・家庭裁判所で任意後見監督人が選任されるので任意後見人の仕事内容をチェックできる。
・本人の判断能力が不十分になる前に契約は
できるが実際に管理はできない。
・死後の処理を委任することができない。
・法定後見制度のような取消権がない。
・財産管理委任契約に比べ迅速性に欠ける。




Q.禁治産者・準禁治産者とどう違うのですか?
A.

平成12年3月まで平成12年4月から
禁治産者成年被後見人
心神耗弱者による準禁治産者被保佐人
浪費による準禁治産者被補助人

旧民法では禁治産、準禁治産の宣告を受けられた方は戸籍に記載されていましたが、成年後見制度は登記制度を設けて戸籍に記載されないようになりました。
新民法では単なる浪費者は成年後見制度の対象とはなりません。浪費者の中で判断能力の不十分な方は家庭裁判所に保佐または補助の申立を行います。




Q.戸籍の禁治産・準禁治産の記載はどうなりますか?
A.禁治産・準禁治産の宣告を受けている方は、平成124月から成年被後見人・被保佐人とみなされます。
これらの本人、配偶者、4親等内の親族のほか、成年後見人・保佐人とみなされる方などは、後見または保佐の登記の申請ができます。この登記がされると禁治産・準禁治産の記載のない新しい戸籍が作られることになります。
上記の手続きがまだお済みでない方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
※ただし、単なる浪費による準禁治産は改正後も旧民法が適用されるため、戸籍に記載が残ります。



Q.成年後見人等の取消権・同意権・代理権が行使できる行為とはどのような行為ですか?

A.民法第13条第1項の行為とは


1.貸したお金を返してもらう
2.お金を借り入れる、誰かの保証人になる
3.不動産などの高価な財産の購入や売却
4.裁判を起こす
5.贈与する
6.相続の承認や相続の放棄、遺産の分割の話し合い
7.贈与を断る、不利な条件が付いた贈与を受ける
8.新築や増築を行う
9.長期間の賃貸借契約をする


家庭裁判所が定める特定の法律行為とは

判断能力が不十分になった方の生活、療養看護及び財産に関する法律行為をいいます。
要介護認定の申請や介護支援契約の締結なども含まれます。以下が主な内容の一部です。

1.すべての財産の保存、管理、変更及び処分
2.金融機関、証券会社とのすべての取引
3.保険契約に関する事項
4.定期的な収入の受領、定期的な費用の支払い
5.物品の購入その他日常関連取引など
6.入院契約、介護契約、福祉サービス利用契約など
7.権利証、印鑑、預貯金通帳、契約書類等の保管など
8.登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書の請求