法定後見制度のメリットと留意点


法定後見制度のメリット



判断能力が減退した方の財産管理、身上監護をすることができる。 
その内容としては、「自己の生活」「療養看護」「財産管理」に関わる事項となります。実際の介護や食事の世話などは、成年後見人等の職務ではありません。 不利益になる契約を締結してしまうリスクがなくなる。

悪徳商法やリフォーム詐欺などの不利益な契約を締結をした場合でも取り消すことができる。(取消権の権限が与えられている場合)

契約行為自体を本人を代理することにより、本人の財産を安全に管理することができる。 公的機関が関与します。 
【法務局】
成年後見人等の権限などを登記されるため、成年後見人等の地位が公的に証明されます。

【家庭裁判所】
家庭裁判所は、成年後見人等に対して、定期的に事務内容の報告を請求し、監督することになります。


法定後見人(成年後見人、保佐人、補助人)となるための資格には制限がありませんので、本人やご家族の意思によって、信頼できる方(親族、弁護士・司法書士などの法律の専門家、福祉の専門家)を成年後見人、保佐人、補助人の候補者として裁判所に申し立てることができます。
しかし、必ずしも候補者が後見人に選任されるとは限りません。なお、成年後見人等選任に関する家庭裁判所の判断については、不服申立てをすることはできません。 


法定後見制度の留意点



選任されるまでに最低でも半年手続き期間が必要なため、迅速性に欠ける。 
本人の意思、成年後見人等の選任、職務内容の確認に1ヵ月程度必要です。

家庭裁判所への申立て準備(申立ての書類作成、本人の戸籍関係の調査・収集、財産に関する各証書等の収集など)に2ヵ月間程度必要です。

家庭裁判所次第になりますが、審判に2ヵ月間程度、後見登記が完了するまでは1ヵ月程度必要です。 
当事者費用(裁判外)として、戸籍の調査費用や、診断書作成費用、家庭裁判所への出頭費用等が必要です。 

成年後見人が選任されると被後見人(本人)は選挙権を喪失する。 
被後見人となる本人は選挙権を失うことになります。
ちなみに被保佐人、被補助人となる本人は選挙権を失うことはありません。 

成年後見人、保佐人が選任されると被後見人、被保佐人は資格制限を受ける。 
被後見人、被保佐人となる本人は、医師、弁護士、税理士等の資格や会社役員、公務員などの地位を失うことになります。
被補助人となる本人は、資格や地位を失うことはありません。